不動産担保ローンとは

青空と街並み

不動産担保ローンとは、文字通り「建物や土地などの不動産を債権者(お金を貸す人)に担保として提供した上でお金を借りる」という資金調達です。
債権者は、万が一債務不履行があっても不動産を売却する等で回収を図れるため、通常の金銭消費貸借契約に比べて低リスクでお金を貸すことができます。

一方で、債務者側は不動産を失うというリスクを負っていることになりますので、不動産担保ローンは正にハイリスクハイリターンな資金調達方法と言えます。
不動産担保ローンがマッチするシーンやファクタリングとの違いについてまとめましたので、資金繰りに悩んでいる方は是非一読ください。

なぜ「担保」が必要なの?

約束通りに弁済(お金を返すこと)がなされなかった場合、当然債権者は大きな損害を被ります。
金額が高額になればなるほどその損害やリスクは大きくなり、場合によっては貸し手側が著しく不利な立場に置かれかねません。
あまりにも一方が不利な契約になってしまうとお金を貸してくれる人がいなくなってしまいますので、法律では債権者保護の観点から「担保制度」を認めています。

担保制度とは、万が一債務者が義務を履行しなかった場合、債務者に代わって(もしくは利用して)義務を履行するというものです。
担保には「物的担保」と「人的担保」があり、前者は預かった物(車や不動産など)を売却する方法で債権回収を図り、後者は債務者の代わりに返済する人(保証人)を予め用意してもらうことで回収の可能性を高めます。
つまり言い換えれば、債務者側には債務不履行時には担保として提供した物を失ってしまう可能性、保証人に迷惑が掛かってしまう恐れなどが考えられます。

不動産担保ローンは好条件が期待できる

ガッツポーズをする女性経営者

数多くの種類がある中で、不動産は債権者側からみて大変ありがたい担保物と言えます。
日本の不動産は価格が安定しており、公示価格や路線価、固定資産税評価など客観的な指標も数多く存在しているためです。

なお、当然ですが金利は「回収の見込み」によって大きく変動します。
例えば、カードローンは無担保でも利用できる商品ですが、金利は利息制限法の限度額ギリギリ(最大20%)に近い水準です。
一方で、不動産担保ローン(不動産を担保としてお金を借りる場合)は3%程度で推移しており、カードローンに比べて金利が低いと言えます。
もちろん、好条件の理由は不動産の持つ「担保価値の高さ」に他なりません。
カードローンとは異なり、不動産担保ローンは預かった不動産を売却すれば債権を回収できますので、低金利でも損をする可能性が低いのです。

借入可能な金額

不動産担保ローンの借り入れ可能額は「路線価の70%」程度となるのが一般的です。
路線価とは、相続税算定の際に用いられる算定方法で、文字通り全面道路に付いた価格に土地面積をかけた金額のことです。※詳しい計算方法はこちら(国税庁HP

なお、固定資産税を算定する際に用いられる金額として「固定資産税評価額」と呼ばれるものがありますが、こちらを利用して計算する方法もあります。

名称 割合
取引価格 100%
固定資産税評価額 取引価格の80%
路線価 取引価格の70%

例えば、販売価格が1000万円の不動産があった場合、固定資産税評価額は800万円程度・路線価は700万円程度となります。
不動産がある市区町村役場から毎年届く納付書に固定資産税評価額が記載されておりますので、こちらの金額を以下の計算式に当て嵌めれば大まかな路線価を出すことが可能です。

路線価の計算式

(固定資産税評価額÷80%)×70%=路線価

つまり固定資産税評価額が500万円であった場合は「(500万円÷80%)×70%=437万5000円」、借入可能限度額は「437万5000円×70%=306万2500円」という計算になります。

ファクタリングとの違い

資料を見る男性スタッフ達

まず、不動産担保ローンとファクタリングはコストの算出方法に違いが見られます。
ファクタリングは資産売却(未収資産の早期回収)に当たりますので、金利ではなく債権額の1~15%ほどの「ファクタリング手数料」を支払う形です。
なお、不動産担保ローンでは「抵当権設定登記」を実施するのが一般的ですので、金利に加えてこちらの費用を負担する必要があります(司法書士報酬+登録免許税)。

また、不動産担保ローンとファクタリングにはリスク面でも違いが見られます。
多額の資金を調達できる不動産担保ローンではありますが「担保として預けた不動産を失う恐れがある」という大きなリスクを背負っていることを忘れてはなりません(抵当権が実行されると当該不動産は競売(オークションのようなもの)に掛けられ、抵当権者はその売却金から優先的に回収を図れる)。

事業所や担保提供者の自宅など、ビジネスはもちろん生活基盤までもが脅かされる恐れがありますので、必ず期日通りにご返済ください。
一方で、ファクタリングは売掛債権そのものを取引(売却)する資金調達方法ですので、そもそも担保を提供する必要がなく、何かを失うといったリスクはありません。

シーンに応じて使い分けを

不動産担保ローンとファクタリングの主な違いは以下の通りです。

不動産担保ローン ファクタリング
コスト 金利+登記費用 ファクタリング手数料
実行までの時間 1か月ほど 1~3日
登記の要否 必要 有無どちらも可
リスクの違い 債務不履行時に不動産を失う可能性がある 本来得られるはずであったキャッシュが減ってしまう

不動産担保ローンもファクタリングも資金調達の一種として用いられていますが、ファクタリングはスピードに優れている反面でコスト(手数料)が高い、不動産投資ローンはコスト(金利)に優れているがスピードに難があるという特徴が見られます。
両者共に億単位での借り入れも可能な資金調達手段ですが、高額になればなるほど手数料やコストは変動しますので、より慎重に精査・検討すべきと考えます。
違いをしっかり理解し、上手に使い分けましょう。

ファクタリング優良会社を地域で探す
ファクタリング会社を独占取材