給料ファクタリングとは?
給料(若しくは給与)ファクタリングは、文字通り「勤め先から受け取る予定の賃金」を支給日前に現金化するサービスです。
従来のファクタリングでは事業によって生じた債権(売掛金や未収金など)が買取の対象でしたが、給料ファクタリングは個人が勤め先に対して有する賃金請求権を買取の対象としている点で大きく異なります。
つまり給料ファクタリングは、法人ではなく個人向けのファクタリングサービスということを意味します。
サービスの概要や危険性についてまとめましたので、これからご利用しようとしている方は是非一読ください。
◆2021年2月27日 追加
2021年2月26日、北海道・旭川中央警察署は「日本強運堂(東京都)」代表取締役ら5人を貸金業法違反の疑いで逮捕しました。逮捕された5人は男女5人に対し約163万円を貸し付けた疑いが持たれており、貸付総額は2019年7月ごろから約1年間で1億円を超えるとみられています。
◆2021年1月28日 追加
2020年3月から5月にかけ、給与ファクタリングをうたい違法に現金を貸し付けた疑いで、福岡県「ルネディオ」の代表者及び社員であった男女3人が逮捕されました。給与ファクタリングでの逮捕は全国で3例目で、福岡県内では初の摘発となります。
◆2021年1月14日 追加
警視庁生活経済課は2021年1月14日までに貸金業法違反(無登録営業)と出資法違反(超高金利)の疑いで、東京都新宿区四谷の会社役員ら7人を逮捕しました。同容疑者らは、給与ファクタリングを称して闇金を営み、都内の40代の会社員ら12人から法定金利を超える利息を受け取った疑いがもたれています。
◆2020年10月14日 追加
給与ファクタリングを謳い違法に金銭を貸し付けたとして男女7人が逮捕されている事件で、大阪府警生活経済課は、貸金業法違反(無登録営業)容疑で主犯格とみられる東京都江東区豊洲の40代会社員を13日付で逮捕しました。これで同事件の逮捕者は8人目となります。
◆2020年7月30日 追加
「給料を支給日前に受け取れる」などと称し、2020年3~6月にかけて兵庫県の40代男性と新潟県の20代男性の2人に計20万円を貸し付けた疑いでコンサルタント会社「SONマネジメント」(東京都)の社員ら男女4人が貸金業法違反(無登録営業)の疑いで逮捕されました。給与ファクタリングでの摘発は全国初となります。
横幅は全体の80%程度になるように調整をお願いします。
◆ 2021年1月7日 追加
貸金業協会 「ファクタリングを装ったヤミ金融や、SNSを通じた「個人間融資」を装ったヤミ金融にご注意」
◆2020年10月8日 追加
金融庁「ファクタリングに関する注意喚起」
◆2020年7月13日 追加
警視庁 「無登録の給与ファクタリング業者に注意!」
◆2020年6月12日 追加
国民生活センター 「給与のファクタリング取引と称するヤミ金に注意!」
給料ファクタリングは違法です
「現代のヤミ金」と呼ばれる給料ファクタリングですが、なぜ法に抵触するのでしょうか。
従来のファクタリングにおいても“悪徳業者”は多く存在しておりますが、債権の譲渡自体に違法性はなく、摘発された事例もありません。(ファクタリングを騙った闇金業者を除く)
当初は完全なる黒とは言えないサービスでしたが、金融庁が政府として初の見解(令和2年3月5日・金融庁における一般的な法令解釈に係る書面照会手続)を示すことにより、違法性が注目されることとなります。
要約すると「違法と言い切れる法律は制定されていないが、給料ファクタリングという仕組みは認められず、貸金業に該当すると考えられる」といった内容です。(現在は取り締まる法律はないものの、ファクタリングは手形割引に酷似しており、本来であれば貸金業登録が必要になる)
したがって、給与ファクタリングを提供する業者は闇金業者と同様、違法性を帯びるということになります。
また、その後の裁判・判旨内においても「貸金業に当たる」との見解が示されており、行政に続いて司法でも違法判断がなされています。
絶対に利用してはいけません
給料ファクタリングは、クレジットカードの限度額がMAXになってしまった・消費者金融からお金を借りることができないといった方から多く利用されました。
しかしながら、貸金業法に抵触するビジネスであり、実際に摘発される闇金業者も多く存在しています。
貸金業登録を受けている企業を除き、給与ファクタリング業者の多くは違法と言える存在ですので、絶対に利用しないようにしてください。
また、実際に過度な取立て・手数料の搾取等によって、生活がままならなくなってしまったという被害者も後を絶ちません。
中には、給与ファクタリング会社への支払いが遅れたことにより、会社にまで取立ての電話がかかってきた・自宅にまで来られたといった事例も確認されています。
給与ファクタリングの危険性
給与ファクタリングの怖さは高い手数料と依存性にあります。
手数料相場は20~30%となっており、仮に20万円を給料ファクタリングしたとすると、受け取れる金額は14~16万円です。
一度きりの利用であり、当該借入によって生活を立て直せるのであれば良いかもしれませんが、多くの方はそうではありません。
給料を満額受け取れないことによって再度利用しなければならなくなってしまい、最終的には給料そのものが無くなってしまうという事態にもなりかねないのです。
給料ファクタリングはなぜ広まった?
通常、現金を入手する方法としては、銀行や消費者金融のカードローン、クレジットカードのキャッシング等が一般的です。
それなのにも拘らず、なぜ給与ファクタリングは流行したのでしょうか。
結論から申し上げますと、給料ファクタリングは「ブラックでも利用できるから」に他なりません。
既に借金を重ねており首が回らない…通常ルートでは借入することが出来ない方にとって、給料ファクタリングは正に地獄に垂れた蜘蛛の糸と言えるのです。
また、コロナ禍によって失業する方・所得が減少する方が多くなったことも給料ファクタリングの利用者増加に拍車をかけた要因です。
仕事が無ければ金融機関のローン審査には原則通りませんので、失業前に働いていた給与を早く受け取りたいという方が多くいたものと推察します。
現在、厚生労働省や日本政策金融公庫、各都道府県や市区町村により、新型コロナウイルスが原因で生活が困窮してしまった方向けの貸付・給付が行われています。
日本政策金融公庫は経営者が対象となりますが、もしも会社員+副業などで生計を立てている方でしたら利用できる可能性は十分にあります。
給料ファクタリングは絶対に利用せず、政府のセーフティネットを最大限に活用するようにしてください。
通常のファクタリングにもリスクがある
冒頭でもお伝えした通り、そもそもファクタリングはビジネスの資金調達手段の一つとして用いられてきました。
ファクタリングとは、企業間もしくは企業と個人の間で利用される“売掛金”や“未収金”といった債権をファクタリング会社に売却することで現金を得る金融取引です。
融資とは異なり審査は比較的緩く・即日振込も可能。まさに中小企業にとっては夢のような資金調達方法と言えますが、本来入るはずであったお金が減少(80~90%)してしまいます。
つまり、給料ファクタリングと同様に、慢性的な利用は破綻を招く恐れがあります。
通常のファクタリングは違法ではありませんが、使い過ぎにはくれぐれもご注意ください。
既に支払った分は返還請求できる
もしも給与ファクタリングを利用してしまった場合は「ヤミ金業者」の対応と同様の措置を講ずると良いでしょう。
具体的には、弁護士や司法書士に介入してもらい、受任通知を送付してもらった上で「ゼロ和解」や「過払い金請求」等を目指す形です。
受任に伴いファクタリング会社は利用者に直接的な請求ができなくなりますから、依頼者は平穏な日々を取り戻すことができます。
「弁護士と司法書士どちらに頼んだほうが良いか」という問題ですが、さほど大きくない金額であれば司法書士に頼んでしまうのがベターです。
相談料も無料ですし、交渉も数万円(1社につき○万円という報酬形態が多い)となっておりますので、コストパフォーマンスに優れています。
給与ファクタリング事業を撤退する業者が相次いでおり、中には無茶な取立てを実施する事例も報告されています。
被害に遭われてしまった方は、速やかに関係各所・専門家に相談しましょう。