ファクタリングの3大リスク
当ページでは、ファクタリング取引で起こり得るリスク・危険性の代表的なパターンをご紹介してまいります。
経営状況を悪化させる恐れも十分に考えられますので、どのような危険があるのかを事前に確認し、リスクヘッジに努めましょう。
リスクその1~取引先に周知される恐れ
債権譲渡をする場合、債務者に対して通知をする又は承諾を得なければなりません。(通知例「〇年〇月〇日、債権甲をA社に譲渡しましたので、以下の支払いはA社に対してお願いします」など)
通知を受けた企業は今までに取引が無かった人や会社にお金を支払わなくてはならない訳ですから、「本当に大丈夫なのか?」と不安になるのが通常の感覚ではないでしょうか。
また、キャッシュが不足していることを露呈するようなものですから、経営破綻の恐れがあるのか・このまま取引を続けて大丈夫なのか等の不安を生む可能性もあります。
深い信頼関係を築けているのであれば問題ありませんが、比較的付き合いの浅い取引先、大手企業等は少しの信用悪化で契約解除、取消へと繋がりかねません。
対応策としては「2社間ファクタリングを利用する」「知られても問題無い債権を利用する」のいずれかが有効です。
2社間ファクタリングは通知や承諾が不要のため知られる心配がありませんし、そもそも知られても問題無い債権であれば取引停止のリスクもありません。
具体的には、国や都道府県、それに類する団体に対して有する債権等であれば「知られても問題無い」と考えられます。
リスクその2~悪質業者・違法運営の存在
近年、ファクタリング会社を語る無許可貸金業者(所謂、闇金業者)が増加しています。
悪質若しくは違法業者の手口には、大きく分けて「給料ファクタリング」「相場を大きくかけ離れた手数料設定」「実質的な金銭消費貸借契約」の3つが挙げられます。
給与ファクタリングとは、文字通り個人の「給料」を買い取る取引です。
給料は本人への支払いが原則であり、他者に譲渡することができないため、実質的な貸金業務であるとの見解が示されています。
したがって、給料(もしくは給与)ファクタリングは貸金業免許を保有している場合を除き違法に当たります。
また、金利や不動産の仲介手数料とは異なり、ファクタリング手数料には法令の規制がありません。
そのため、相場を著しく外れた手数料を設定するファクタリング会社も見受けられます。
当事者が納得しているのであれば問題ないのかもしれませんが、ファクタリングを利用する企業の多くは切羽詰まっている状況であり、多少手数料が高くとも契約せざるを得ないのが現実です。
数年前に比べるとファクタリング会社も増え、わざわざ手数料が高い業者を利用する必要は一切ありませんので、少しでも高いと感じたら契約は一旦保留しましょう。
さらに、ファクタリングは債権の売買であり金銭の貸し借りではありません。
そのため、契約書は「売買契約書」「ファクタリング契約書」「債権譲渡契約」などの文言で作成されています。
「金銭消費貸借契約」と書かれていた場合、当該ファクタリング会社は違法に貸金業を営む業者の可能性がありますのでご注意ください。
一定規模の工事を行う場合は建設業、不動産の売買や仲介を反復継続して行うのであれば宅地建物取引業など、特定のビジネスを営むには行政から特定の許認可(許可・認可・免許など)を受けねばなりません。
一方で、ファクタリングにはこのような法令の規制がなく、誰でも簡単に参入することができてしまいます。
そのため、ファクタリング会社の質には大きな差が見られ、優良会社と悪質業者の二極化が進んでしまっているのが現実です。
ファクタリングを利用する際は、ファクタリング会社をしっかりと検証・調査した上で利用するよう心がけてください。
リスクその3~財務の更なる圧迫
ファクタリングは、債権額の一部を手数料として支払わねばなりません。
つまり、本来であれば100入るものが、95乃至は90など目減りした状態で支払われるということを意味します。
1回限りの利用であればさほど大きな問題とはなりませんが、利用回数が3回・5回・10回と増えてゆくとどうなるでしょうか。
元々100であった債権が、いずれは0にまで下がってしまいます。
まとまった金額を利用するなど、利用回数を出来るだけ抑えるのももちろん効果的ですが、長期的な利用にならざるを得ないケースでは「ファクタリング会社の財務コンサルタントサービスを利用する」という手もあります。
財務コンサルトタントとは、例えば初回は100万円→2回目は50万円→3回目は30万円といった形で徐々に金額を下げていき、いずれはファクタリングが無くともキャッシュフローを改善させるといったものが一般的です。
このように、ファクタリングは高い即効性・利便性がある反面で、使いすぎると財務の破綻を招く恐れがあります。
予め財務改善計画を立て、ファクタリングの回数を定めておくことをお勧めいたします。
企業間取引にはリスクが付きまとう
債務不履行・契約解除・使用者責任・損害賠償請求…
ファクタリング取引にかかわらず、企業間での取引(CtoC取引)では常に数多くのリスクが付き纏います。
企業間取引で起こり得るリスクを予め把握・予見し、回避に努めることが大切です。
よくあるリスクをご紹介いたしますので、是非今一度チェックしてみてください。
デフォルト・リスク
デフォルトとは、売掛先・未収先が倒産、吸収合併等により、債務を履行出来ない状態(債務不履行・履行不能)に陥ることです。
企業規模の大小の如何に係わらずいつでも起こりうるリスクであり、常に取引先の経営状況には細心の注意を払い、把握しておく必要があります。
原始的ではありますが、入金が遅れてきてしまっている取引先に関しては早めの催促、既に遅滞が長期又は複数回に及ぶ場合は早急な契約解除、取消しを行う等の対策が有効です。
予めファクタリングによって債権は譲渡してしまうという手もありますが、不良債権だと判断された場合、買取金額が著しく低くなってしまう又は買取を断られる可能性があります。
過剰返品・不当返金リスク
過剰返品・不当返金リスクとは、売却した商品が返品、リコール等によって売掛債権が減少してしまう危険性のことで、債権の希薄化リスクとも呼ばれます。
返品・返金により、資産(売掛金)及び収入(売上)が減少してしまうため、返品が一度に大量に起こってしまうと一気に経営が傾いてしまう恐れも否定できません。
まず、出荷した商品に対し「何%の商品が返品されるのか」を知る必要があります。
事業を始めたばかりの場合はこの数字がはっきりしないため、不安定な経営となりがちですが、長く経営を続ける事によって徐々に固まってきます。
売上の内、返品分を予め除外して考える事により、より安定した経営が見込めるでしょう。
もちろん、不良品・返品を減らすといった企業努力も必要です。
ファクタリング取引に於いても、返品分を除外した分を譲渡債権とすることによって後々のトラブル回避へと繋がります。
まずは「知ること」が大事
このように、ファクタリングには一定のリスクや危険性がありますので、ご利用の際はこれらのリスクをしっかりと把握した上でご検討ください。
また、ファクタリングの危険性だけではなく、経営をする上で起こり得るリスクも併せて把握しておきましょう。
まずはどのようなリスクがあるのかを知り、できるところから少しずつ対策を講じてゆくことが大切です。