ABL(債権担保融資)とは

ABL融資の契約書

ABLとは[Asset Based Lending(アセット・ベースト・レンディング)]の略で、銀行や信用金庫等の金融機関に対し、売上債権を担保として提供することによって融資を受ける資金調達方法です。
なお、担保として提供するものは債権に限らず、保有する商品やその在庫、動産、農畜産物等でも可能となっており、資金調達手段の拡大として近年人気が高まっています。

ABL(債権担保融資)の特徴

ABLには、以下の特徴やメリット・デメリットがあります。

ABLのメリット

不動産等の固定資産が無くても融資が受けられる可能性がある。
長期的な借り入れが可能なため安定した経営が出来る。

ABLのデメリット

商品や在庫の処分価値が千差万別のため、過剰担保となる可能性がある。
履行遅滞等により担保が実行されると倒産を招く危険性がある。
担保提供した商品の状況・在庫管理や債権の現状を、借入した金融機関に定期的に報告しなければならない。
主要な動産を担保提供や悪質な業者とのABLは、会社を乗っ取られる恐れがある。

ABLのリスクについて説明するコンサルタント

ABLでは融資となるため「担保」を提供する必要がありますが、担保とする資産割合が高まると万が一の際に致命的なダメージを受けることになります。

ファクタリングとABLを徹底比較

ファクタリングとABLを比較し、それぞれの特徴を考察していきます。

担保の対象の違い

ファクタリングは担保となる対象が債権に限られており、原則として車両、商品、農畜産物といった動産は対象となりませんが、ABLの場合それら動産も担保の対象となりますので担保の範囲が広いという点が両者の違いの一つとして挙げられます。
ただし、担保の範囲が広いという事は、担保が実行(処分)された場合、著しい経営悪化・倒産等を招く危険性があることに注意が必要です。

審査の違い

ファクタリング・ABLは提供される担保の資産価値を見極め、審査される点は共通していますが、両者とも審査の性質に以下の違いがあります。

ファクタリングに於ける審査基準

ファクタリングの内、2社間ファクタリングと呼ばれる方法の場合、利用者が有する債権を早期に業者側が支払い、売掛先から債権を回収した後に、ファクタリング業者へ早期支払い分の弁済がなされます。
したがって、売掛先からの入金が利用者になされないと、利用者はファクタリング業者への債務の弁済が出来なくなってしまい、履行遅滞・債務不履行に陥る危険性があります。そのため、ファクタリングは提供された担保が長期に亘った取引での債権であるか、売掛金が支払われる蓋然性・信用性があるか、という点を重点的に審査します。

ABLに於ける審査基準

主に担保提供される動産の資産価値を審査します。
また、返済能力も大きな判断・審査基準となりますので、利用する企業が安定した経営をしている点も審査されます。

登記の要否

ファクタリング・ABL共に登記が必要となる場合があります。
具体的には以下に該当するケースです。

ファクタリングの場合

三社間ファクタリングは、法的に「債権譲渡」に該当するため、債務者(売掛先)へ債権を譲渡した旨の通知又は承諾若しくは登記のいずれかが必要となります。
そのため、登記による方法によってこの要件を具備する方法を選択した場合にのみ、登記(債権譲渡登記)をする必要性が出てきます。
登記には専門家への報酬や登録免許税等のコストが掛かりますので、通知によって行う事が一般的です。

ABLの場合

ABLの場合、登記の有無は対抗要件・成立要件ではありませんが、契約の段階で求められるケースが多いです。
ABLで利用される登記の事を「動産譲渡登記」といい、担保目的としての譲渡にも利用が可能となっており、動産譲渡担保契約の締結後、登記を行うという流れが一般的です。

下記表はスマートフォンにて閲覧時は⇒方向にスライドして御覧ください。

担保の対象 審査の違い 登記の要否 入金までの期間 コスト
ファクタリング 債権 比較的緩い
(担保として提供した債権の安全性・信頼性を審査)
第三者対抗要件で債務者の承諾を選択した場合に必要 短期間となりやすい
(即日も可能)
ファクタリング業者へ支払う手数料
ABL
(債権担保融資)
債権・動産等 厳しい
(経営の安定性・担保の価値を審査)
必要 長期間に及びやすい 融資期間分の金利
登記に要する費用
金融機関へ支払う手数料等

ファクタリングとABLはどちらが得か

両者を比較してみますと、対費用面や審査が緩いという点でファクタリングの方が優れていると言えますが、長期間での借入れが出来る点や金利が安いという点ではABLに軍配が上がります。
なお、ABLには提供した担保が取られてしまうと会社の倒産を招く危険性・手続の煩雑さからリスクが高い、迅速性に乏しいというデメリットも挙げられますので、良く検討を重ねた上での利用が望ましいです。
ファクタリング・ABLそれぞれにメリット・デメリットがあり、会社の状況に応じた使い分けを行う必要があると言えるでしょう。

一括信託と比べてファクタリングの利点について理解する女性

それぞれ一長一短はあるものの「スピード」と「審査の柔軟性」の観点ではファクタリングに軍配があがるようですね!
長期的な借入れや高額融資が必要な場合にはABLも視野に入れた戦略も有効です。