なぜ建設業でファクタリングが人気?
居住用の家を建てる・人が通る道路を作る・ビルや公共施設の施工建築…。
人々の生活基盤となる建物の土木・建築工事を業とする「建設業者」は、紀元前からある職業であると言われています。
我々の生活に欠かせない家屋はもちろん、公共施設の建築、道路を始めとするインフラ整備等、日本の発展には欠かせない事業と言っても過言では無いでしょう。
建設業に於ける資金調達手段と言えば「銀行からの融資」が一般的であり、現在も多くの建設業者はこの銀行・消費者金融業者(ノンバンク)といった第三者からの借入がほとんどです。
一方で、昨今ではファクタリング需要の拡大により近年この勢力図に大きな変化が見られるようになりました。
従来の銀行融資思考からファクタリングへ移行する業者が増え、今まで銀行融資を受けられなかった建設業者の資金調達方法として大衆的に広がりをみせており、今後ますます利用者は増加してくものと予想されます。
ファクタリングが建設業者からなぜ選ばれているのかについて、ビジネスの特徴や商習慣を考えながら解説していきます。
財務状況が重要視される業界
財務状況を示す会計資料としては「貸借対照表(B/S)」「損益計算書(P/L)」などが挙げられ、簡単に言うと貸借対照表は資産や負債(現金預金や借入金)を示し、損益計算書は会計年度内で掛かった費用や得た利益を示しています。
つまり、会社に現金や預金がいくらあるのか・不動産や車両をどの程度保有しているのか、借金はどのくらいあるのか等が同書類によって確認することが可能なのです。
企業の財務状況は原則としてこちらの書類によって判断され、特に銀行融資を受ける際や工事入札(公共団体が発注する工事)などで重要な役割を果たします。
銀行融資の際、利益が出ているかどうか・支払いは滞ってないか等を審査するのはもちろんですが、銀行は「負債の比率」も入念にチェックします。
資産に対して借入金の割合が大きすぎると「不安定な会社」と判断されてしまうため、審査を受ける際は負債比率についても十分に注意せねばなりません。
また、大きな企業の場合、取引前に財務状況を確認するケースがあります。
財務状況があまりにも悪いと契約を断られてしまう恐れがありますので、建設業において会計書類上の「見た目」は想像以上に大切なものと言えます。
人気の理由その1~負債が増えない
ファクタリングが人気の理由1つ目が「負債が増えない」という点です。
ファクタリングは、自社で保有している売上債権(売掛金や未収金)をファクタリング会社へ早期売却することで現金を得る資金調達方法です。
売掛金や未収金は貸借対照表上の「資産」に当たりますので、負債の部が増えることはありません(借入金は負債が増加)。
具体的には、ファクタリング会社に手数料を支払うため費用が増加し、売上債権が減るため資産の減少と処理する形です。
したがって、銀行融資審査や経営事項審査(入札を行う際の審査)を控えているというシーンでファクタリングはマッチする資金調達方法と考えます。
建設業は「手出し」が多い
工事を受注する場合は「請負契約」を締結するのが一般的です。
請負契約は工事の完了及び引渡しをもって完了するため、目的物の完成後に工事代金を受領するのが原則となっています。
つまり、工事に要する材料・人件費・重機のレンタル費用・外注費等は請け負った企業が「手出し(前払い)」せねばなりません(※数千万円・数億円規模となると全ての費用を手出しするのは難しいため、一部を「前金」として支払うケースも多くなっています)。
したがって、例えば業務の一部を外注に出す場合は多額の手出しが必要になります。
人気の理由その2~つなぎ資金として有効
ファクタリングが人気の理由2つ目が、この「建設業の商習慣」にあります。
完成時にはまとまった代金を受け取れますが、工事中の間は費用がかさむ一方と言っても過言ではなく、場合によっては工事がストップしてしまう可能性も否定できません。
「工事完成までの一時的な資金が欲しい」「借入を行う程の長期間ではない」といったシーンでファクタリングはマッチしますので、建設業を営む企業にとって有効な資金調達手段と言えるのではないでしょうか。
また、工期は2~3か月は当たり前で、ときには数年を要することも珍しくありません。
あまりにも長期間にのぼる場合は支払いを分ける(数か月に一度支払う形)のが通例ですが、それでも支払いスパンは2~3か月に1回程度となりますので、キャッシュが不安定になりやすいと考えられます。
そこで、入金を一定にするためにファクタリングを活用するという手があります。
支払日及び入金額を毎月一定額にすることで、仕事量が減ってしまった・工事費用の手出しが多くなってしまった等への対応も可能です。
建設業振興基金とは
前述した通り、建設業においてファクタリングはマッチ度が高い資金調達方法と言えますが、ファクタリング会社側にとっても利点の多い取引と言えます。
理由としては「大口取引となりやすい(工事代金が高い)」「ファクタリング会社側のリスクが低い」などが挙げられます。
工事代金は数千万円乃至は数億円に及ぶことも珍しくはないため、ファクタリング会社側からみると利益の大きい取引となる可能性が高いです。
さらに、建設業者との取引では「一般財団法人建設業振興基金によるファクタリング契約保証事業」が利用できるため、一般的な取引に比べてリスクが軽減されます。
人気の理由その3~債務保証が受けられる
一般財団法人建設業振興基金とは、資格取得のための研修・就職・キャリアアップ等、建設業にまつわる事項に対し様々な角度からの支援を行う団体です。
また、同団体では建設業者を対象とした資金援助や保証業務のほか、元請けから支払われる工事代金の保証・ファクタリング契約の際の保証業務等も行っています。
ファクタリングは1~2か月後に入金される売掛金を早期に現金化するサービスですが、仮に取引先企業が倒産してしまうと、債権を買った企業は回収ができなくなってしまいます。
譲渡を受ける側にとって、倒産や債務不履行は債権譲渡取引の最も大きなリスクであると言っても過言ではなく、場合によっては取引を断るケースもあります。
そんなとき、第三者がその債務を保証してくれるとしたらどうでしょうか。
譲受人(ファクタリング会社など)は当該リスクを避けられるため、積極的かつ低手数料にて取引を進めることができます。
つまり、建設業振興基金が債務を保証することにより、ファクタリング会社側は従来よりも安全に契約を締結することが可能となったのです。
もちろん、ファクタリングでは売掛先の債務不履行を利用企業側が責任を負うことがありませんが、契約を断られてしまう可能性は考えられました。
つまり、多くのファクタリング会社から断られてしまうような債権であったとしても、同団体の債務保証が受けられれば利用できる可能性が高まります。
このように、建設業を営む企業にとってファクタリングはもはや欠かせない存在と言っても過言ではなく、今後さらに需要が拡大するものと予想します。
資金調達方法に悩んでいる事業者の方は一度ご検討してみてはいかがでしょうか。