>ファクタリングにおける債権譲渡登記

ファクタリングを活用する際には、基本的に「債権譲渡登記」が行われます。
あまり聞き慣れない言葉ですが、この意味をしっかりと理解して取引を行わないと、今後のさまざまな取引で悪影響が及ぶ恐れがあります。
そこで今回は、債権譲渡登記とは何なのか、どんなメリットやデメリットがあるのかを解説します。

債権譲渡登記とは?

登記制度の概要

まず「登記」とは、法人・個人・不動産・財産などの権利関係が公衆に知られる状態にする法的制度のことです。
さらに、「債権譲渡登記」は登記の一種で、その名の通り債権が譲渡された旨を登記することを指します。
なぜこの債権譲渡登記が必要かというと、法律関係・権利関係を第三者に主張できる「第三者対抗要件」を備えることができるためです。
第三者への対抗が可能となることで債権者は正当な権利者であることを主張でき、債務者は誰にお金を返せばよいのを迷わずに済みます。
また、ファクタリング会社は既に他の業者に売られている売掛債権を買い取ってしまうリスクがありますが、債権譲渡登記を行うことで、当該リスクの回避にも繋がります。
つまり、債権譲渡登記は「この売掛債権の権利は自分にある。」ということを第三者に知らせる効果があるのです。

【参考】法務局「債権譲渡登記」
http://www.moj.go.jp/MINJI/saikenjouto.html

債権譲渡登記を行うメリット

ファクタリング契約を結ぶ際の債権登記は、ファクタリング会社側に多くのメリットがあります。

2社間ファクタリングが可能になる

債権譲渡登記が無かった時代には、ファクタリングを希望する企業・ファクタリング会社・売掛先の3社間が合意のもとで契約するのが一般的でした。
しかし、中小企業や零細企業はこの3社間ファクタリングを利用したくても、売掛先(クライアント)に資金繰りが厳しいのではないかと勘ぐられてしまう可能性が出てくるためなかなか手を出せない状況だったのです。
ところが、債権譲渡登記制度が設立されたことで、売掛債権を所有している人が誰なのかを証明できるようになったため、売掛先の同意無しで2社間ファクタリングが行えるようになりました。
この2社間ファクタリングは、売掛先を交えない取引が可能で最短即日に資金調達ができるメリットがあり、ファクタリングの利用者が急増するきっかけともなりました。

二重譲渡が防止できる

「二重譲渡」とは、ファクタリング利用者が1つの売掛債権を複数のファクタリング会社へ売却して買取金を多重に受け取る詐欺行為のことを指します。
二重譲渡されてしまうと当該債権を回収できなくなってしまいますので、ファクタリング会社が最も懸念しているリスクと言っても過言ではありません。
しかし、債権譲渡登記を行っていれば、以下の理由から二重譲渡のリスクを防ぐことが可能です。

対抗要件になる

万が一、利用者がファクタリング会社へ渡さなければならない売上債権を使い込んでしまった場合、債権譲渡登記を行っておけば明確な権利関係を債務者や裁判所に対して主張できます。
そのため、仮に判決が出て訴えが認められれば、裁判所を通して利用者の銀行口座を差し押さえる等の措置を講じることで売掛金が回収です。
このことからも分かるように、債権譲渡登記はファクタリング会社側の“保険”的な役割を担っているといえるのです。
なお、登記をしないでファクタリング契約できる業者もありますが、手数料が高額になったり買取金額が制限されたりするケースがあるので留意しておきましょう。

債権譲渡登記を行うデメリット

ファクタリング業者には多くのメリットが存在しますが、利用者側には以下の致命的ともいえるデメリットが発生してしまいます。

売掛先に知られる可能性がある

債権譲渡登記を行うと、その旨が登記簿に記載され誰でも閲覧できる状態になります。
そのため、もしも売掛先が登記簿を確認してしまったら、なぜ債権譲渡を行ったのかと不審に思われてしまい今後の取引に悪影響が及んでしまいます。
特に新規取引では、まだ信頼関係が築けていないこともあり、取引先に登記簿を確認される可能性が高くなります。

金融機関の融資審査にも影響が出る

金融機関での融資審査の際には、債権譲渡登記の有無を確認される場合があります。
債権譲渡登記を行ったからといって審査に通らないわけでは無いのですが、少なからず影響が出てしまうことは否めません。

安易な登記は行わない

判子を押すイメージ

債権譲渡登記は、ファクタリング会社側にとってはリスクを防止できる制度ですが、利用者側には融資審査や取引関係で悪影響が及んでしまうケースがあります。
そのようなリスクを避けるためにも、債権譲渡登記は安易に行わず、今後の資金調達のことを考えて慎重に検討するようにしてください。
また、ファクタリング会社のなかには、登記不要で取引できることをウリにしている業者もあります。
しかし、登記不要の変わりに手数料が高くなるケースもありますので、見積もり時にきちんと確認しておきましょう。