生命保険を活用した資金繰り

保険と書かれたサイコロ状の木材

生命保険に加入中であれば「契約者貸付制度」や「生命保険買取」を利用することによってキャッシュフローを改善できるかもしれません。
当ページでは、契約者貸付及び生命保険買取のサービスの仕組み、調達可能金額の算定方法、利用の可否の判断基準などをご紹介いたします。

契約者貸付制度とは

契約者貸付制度とは、解約返戻金を担保に低金利で借入が出来る制度です。
満期返戻金がある生命保険の多くは契約者貸付制度を用意しており、審査が不要・ブラックや赤字決算の事業経営者でも利用可能などの利点があります。
また、元本分については利用者側の裁量で返済額を決めることができ、保険料の支払いが滞らない限りは通常利息を払うだけでも問題ありません。

貯蓄性がある保険が対象

貯蓄性がある保険とは、保険金の支払い条件(重大な疾病や死亡など)を満たさない場合でも解約すれば返戻金を受け取れる契約内容の保険のことで、例えば終身生命保険や外貨建て保険・養老保険・学資保険・変額保険などが挙げられます。
なお、契約者貸付制度は「低解約返戻金型終身保険」が最も多く活用されています。 低解約返戻金型終身保険とは、満期前解約だと受け取れる返戻金が減額される代わりに満期(低解約返戻期間)を過ぎると返戻率が増える保険のことです。
保障内容によっても異なりますが、死亡保障に特化した契約内容の場合、払込保険料の70%程度が解約時に返還されます。
契約者貸付制度の貸付限度額は中途解約返戻金に対して70~90%ほどで、金利は2~8%が相場です。

例えば、月々の保険料が2万円の低解約型終身保険に加入していた場合、年間払込保険料は24万円、加入期間が5年なら計120万円を支払うことになります。
したがって払込期間5年経過時点での解約返戻金は「既払保険料120万円×70%=84万円」となり、限度額設定が80%だった場合は「84万円×80%=67万2,000円」が借入限度額となる計算です。

信用情報機関の照会・登録なし

信用情報開示報告書の見本
画像引用元株式会社シー・アイ・シー「信用情報開示報告書の見方」
https://www.cic.co.jp/index.html

生命保険の契約者貸付制度は保険業法に則ったサービスです。
保険会社は契約者貸付制度に限り貸金業登録を受けなくても貸付ができるため、借入時に信用情報を記載・照会されることはなく、万が一返済や保険料の支払いが滞った場合であっても信用情報機関に情報を登録されることはありません(ただし、担保である保険契約が解約・失効されるペナルティを負います)。
したがって、ファクタリングと同様にブラックや債務超過状態でも資金調達が可能である上、信用情報に傷をつける恐れもありません。

月々の返済が不要

先ほども軽く触れましたが、契約者貸付制度は原則として月々に決まった金額を返済(弁済)する必要がありません。
返済をしないと利息が膨らんでいきますが、月々の保険料支払いさえ継続できれば借入限度額も増えてゆくため、生命保険を解約するまで一切返済しないことも理論上は可能です(生命保険料の支払いを一時中断している又は一時払いで加入している場合は、借入限度額が増えず利息のみが増えてしまいますのでご注意ください)。
万が一借入金の弁済や保険料の支払いが滞ってしまうと生命保険の強制解約もしくは失効のペナルティを受けてしまいますが、原則として遅延損害金等は発生しません。

ATMからの即時借入も可能

一般的な契約者貸付は申し込みから2営業日程度で入金されます(銀行振込)。
さらに、昨今では事前に専用カードを発行しATMからの借入・返済ができるサービスも登場しており、わざわざ銀行や消費者金融を利用しなくてもちょっとした現金であれば用立てることが可能です。
借入を予定していなくとも、予め専用カードを作っておけば緊急時に活躍してくれるかもしれません。

生命保険買取制度とは

印鑑と人形

生命保険買取制度は、原則として余命宣告を受けた場合に利用できる資金調達法です。(一部の買取業者では「65歳以上」など、年齢を限定しているケースもあります。) 掛け捨て型の保険でも利用できるという利点があり、治療費をはじめ生存中に発生する費用を生命保険料から前借りするイメージです。

契約を残しつつ買取業者に保険契約を譲渡する仕組みで、例えば「死亡保険金1,000万円・月々の保険料1万円の契約・余命1年の宣告を受けている」といったケースの場合、600~900万円程度で取引されています。
月々の保険料は買取業者側が負担し、死亡時には1,000万円の保険金を買取業者が受け取り、その差額で利益を出すという流れです。

お金の流れだけを見ると怪しくて違法性を感じるかもしれませんが、生命保険買取は海外で広く普及している正規の資金調達法であり、過去には当該サービスを認める判例も存在しています(法律では明確に記されていません)。
しかしながら、反社会勢力など違法業者が法外な価格で買取するケースも確認されておりますので、買取業者の選定は慎重に行う必要があります。

ビジネスシーンで利用価値アリ

生命保険の説明書とお金

生命保険を使った資金繰りはビジネスシーンでも利用価値があります。
契約者貸付制度は使途が自由な上、月々の保険料支払いさえ滞らなければ元本を返済しなくてもOKという大きなメリットがあります。
ただし、保険料の支払いも滞ってしまうような状況に陥っているような場合ですと、契約者貸付制度よりも解約返戻金を受け取った方が有利になることもあります。

条件によってはビジネスローンや銀行融資よりも低金利で借入できますので、いざという時のための最終手段・日常的なちょっとした資金繰り等のシーンでおすすめです。
なお、生命保険買取制度は海外に比べてまだまだ普及率が低く、買取条件が悪いケースも目立ちます。
ファクタリングやキャッシングなどの他の資金調達法とも比較しながら慎重に検討すると良いでしょう。

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