小売業とファクタリング
メーカーや商社から製品を仕入れ、私たち一般の顧客に商品を販売するお店のことを「小売業」や「小売店」と呼びます。
“小”という字が入っておりますので街の小さなお店を想像する方が多いかもしれませんが、百貨店・専門店・スーパーマーケットなどの大型店舗も小売業に分類されます。
食品、衣料品、医薬品からアパレルまで幅広い品目の商品を扱いますが、共通して言えるのは「販売するための商品を仕入れ続けなければならない」という点です。
販売した際の代金(売上)を充てるのが一般的ですが、売れない状況が続くと在庫ばかりが増えていき、仕入れに使えるお金が無くなってしまいます。
つまり、小売業は「仕入れなければ商品は売れず、売れなければお金は入らない」というシビアな経営と資金繰りを日々行わねばなりません。
小売業の抱える資金繰り問題
前述の通り、小売業は様々な種類の商品を販売しています。
そのため、取り扱う商品によってそれぞれ異なる悩みがあり、個別にアプローチできる資金調達方法を確立しなければなりません。
小売業が陥りやすい経営上のリスクについて確認しておきましょう。
繁忙期に資金がない
小売業には、特定商品の需要が高まる“シーズン”が存在します。
玩具を取り扱う小売店ならクリスマス、アパレルを取り扱う小売店なら福袋が発売されるお正月、アウトドアグッズを取り扱うスポーツ用品店なら夏休みの時期などです。
繁忙期には通常の営業以上に潤沢な店頭在庫と、先手を打って売れ筋の商品を確保するための資金力が重要と言えます。
もちろん、事前の商品確保のみならず、シーズン中に仕入れが必要となるケースもありますので、予めキャッシュや資金調達方法を用意しておく必要があるでしょう。
価格競争が激しい
小売業は価格競争が非常に激しい業界です。
食品や医薬品を販売するスーパーマーケットやドラッグストアは特にライバルが多く、近隣のお店に負けないように値下げ・クーポンの発行などあらゆる手段を講じています。
万が一資金が尽きてしまえば、価格競争について行けなくなってしまう可能性も否定できません。
また、ライバル企業に資金不足がバレてしまった場合、強気な営業を企てられてしまう恐れもありますので、資金調達の「秘匿性」も重要です。
クレジット債権が多い
キャッシュレス推進の影響により、会計はクレジットカード・電子マネー・決済代行(携帯払いなど)が多く利用されています。
これらは簡単に決済が出来るため、会計がスムーズになる・購買意欲が上がるというメリットがありますが、その反面でクレジットカード会社に手数料を支払わなければならない・キャッシュ不足に陥りやすくなるといったデメリットがあります。
急な資金不足を避けるために、資金調達方法は予め確保しておいた方が賢明です。
ファクタリングの活用
なぜ小売業の資金調達にファクタリングが注目されているのでしょうか。
それは、ファクタリングには以下のメリットがあり、小売業と相性が良いと考えられているためです。
相性が良い理由1~素早い資金調達が可能
ファクタリングは売掛金の信頼性が高い事実さえ確認できれば、それ以外の審査要素はあまり重要視されないため、素早い資金調達が可能です。
いざというときのために予め即日対応可能なファクタリング会社と契約をしておけば、繁忙期も落ち着いて対応することができます。
相性が良い理由2~秘匿性が高い
ファクタリングはファクタリング会社と利用する会社(債務者)、利用する会社の取引先(債務者)の3つの会社の権利・義務に影響を及ぼします。
しかし、ファクタリングは債務者に対して通知を行わずに進められる方式(2社間ファクタリング)を採ることがほとんどであり、第三者に資金調達の事実を知られる可能性は低いと言えます。
ライバル企業に悟られる心配なく資金調達が出来る点は、大きなメリットになるのではないでしょうか。
相性が良い理由3~クレジット債権の保有
2020年4月に民法が改正されたことにより、譲渡禁止特約付きの債権なども自由に譲渡ができるようになりました。
例えば「クレジットカードの売上」は、以前はクレジット会社の利用規約で譲渡が禁止されておりましたが、同改正を受けてファクタリングができるようになっています。
キャッシュレス決済は年々増加傾向にありますので、同債権を多く保有する小売業者にとって大きな転機となる可能性があります。
業界の動向にも要注目
従来は「債権を持つことが少ない業種」とされてきた小売業ですが、キャッシュレス化の波等を受け常に多くのクレジット債権を抱えるようになりました。
さらに、従来は債権譲渡禁止特約が附されていたクレジット債権ですが、民法の改正によって自由に譲渡できるようになっています。
つまり、今後はファクタリングによってクレジット会社に有する債権を早期に現金化することも可能なのです。
銀行融資がスムーズに行われれば問題がありませんが、1分1秒でも早い資金繰りを求めているのであれば「ファクタリング」を視野に入れても良いかもしれません。