個人事業主向けの資金調達

フリーランスで仕事をする女性

法人登記・役員の選任・定款作成等が不要であり、手軽にスタートすることが可能なため、まずは個人事業主からビジネスをはじめる方が大半ではないでしょうか。
また、「特技を活かしたビジネス」「副業として空いた時間に仕事を受けている」「一人親方として活動」など、法人で行うほどではない事業規模のため、あえて個人事業主として活動されている方も多いと存じます。
当ページでは、個人事業主(フリーランス)として活動されている方向けの資金調達方法と、それぞれのメリット・デメリットを解説してまいります。

金融機関からの融資

最もメジャーな資金調達方法とも言える「銀行や消費者金融からの融資」。
金利が安い上に長期間での借入・返済が可能なため、利用出来れば安定した経営状況を長期に亘って作り出すことが可能です。

しかしながら、個人事業主は法人に比べて未回収リスクが高いと判断されやすく、利用のハードルは高いと言わざるを得ません。
中でも、銀行や信用金庫は特に審査が厳しく、融資先が今後も継続して事業を行い、かつ、きちんと返済を行っていけるのかについて深く審査します。
具体的には、代表者の確定申告書等(3期分以上)によって安定して事業が行われていること・事業計画書でその事業が今後どのような成長が望めるのかなどが確認されます。

融資がプラスに働かねばならない

また、資金の「利用使途」も審査の可否を分ける大きなポイントです。
つまり、融資が事業にどのような影響を及ぼすのか・どのように成長するのかという点も重要であり、融資がお互いにとってプラスに働くものでなければなりません。

例えば、飲食店を経営する予定だが設備にかけるお金が足りない・IT業を営んでいるがPC周辺機器をグレードアップしたい等であれば、融資によって企業の成長や売上の増加へと繋がると考えられます。
逆に、運転資金や他の支払いに充てる等の場合、企業そのものの成長を促すことにはなりませんので、融資不可の可能性が高くなると言えます。

融資の相談をする場合は、何にお金を使用し、そのお金を使ってどのように成長するのかを明確にしておきましょう。
銀行や消費者金融は担当者の裁量が非常に大きいため、基準を満たしていなくとも心証が良ければ審査に通る可能性が十分にあります。

ファクタリングによる資金調達

特に中小規模の法人から人気を集めているファクタリングですが、もちろん個人事業主の方でもご利用可能です。
昨今ではファクタリング会社の増加により、個人事業主に特化したサービスの登場、手数料の低下など、利用者にとっては嬉しい競争が起きています。

また、早ければ当日中に現金を得ることもできるため、つなぎ資金(銀行融資が決済されるまで・他の入金があるまでのつなぎなど)として多く活用されています。
ただし、利用には一定の条件を満たさねばならない・審査が法人に比べて厳しくなりやすいといった点には注意が必要です。

ファクタリング審査が不利になる理由

審査が不利になる理由として「債権譲渡登記制度を利用出来ない」「まとまった売掛債権が無い」などが挙げられます。
債権譲渡登記には二重譲渡を防ぐ・利用者や第三者(債務者を除く)への対抗要件となる等の効力がありますが、そもそも個人事業主には登記という概念がなく、当該制度を利用することができません。

そのため、ファクタリング会社にとって個人事業主が有する債権の買取は、法人に比べてリスクが高いということになります。
また、債権の金額が少ないという点も、ファクタリング会社に敬遠される理由の一つです。
基本的に、法人であっても個人事業主であっても審査する項目は変わらず、審査に要する手間や時間に大きな違いはありません。
したがって、債権金額が大きければ大きいほど、ファクタリング会社にとってはポジティブ要素であると言えます。

少額債権に特化したファクタリング会社も

以前は個人事業主を利用不可とするファクタリング会社が目立ちましたが、昨今では「個人事業主様歓迎」「少額債権専門」などのサービスが多く登場しています。
120年ぶりの民法・債権総則改正、でんさいの登場、債権担保融資の普及など、今や債権活用は当たり前の時代であり、ファクタリング会社も多様性に対応せねば生き残れないのかもしれません。
また、民法が改正されたことにより、クレジットカード売上や将来債権についてもファクタリングが可能となりました。(債権譲渡禁止特約の廃止・将来債権の明文化)

より有利な条件を得るには

会計書類や売上グラフ

前述した通り、個人事業主は法人に比べて審査が厳しく、条件面で不利になりやすいと言えます。
そこで、審査をより通りやすく、好条件を得るのであれば「まとまった金額をファクタリングする」「期日が近いものを利用する」などの対策がおすすめです。

手数料は「債権金額の〇%」という形で発生するため、あまりにも低い金額だとファクタリング会社側が赤字になってしまいます。(そのため、買取可能な債権の下限額を「50万円」「100万円」などに設定するファクタリング会社が大半です。)
逆に、金額が大きければ大きいほどファクタリング会社にとってはプラス要素ですので、好条件に繋がる可能性は十分に考えられます。

また、信頼性が高い債権(優良債権)や期日の近い債権を利用するというのも手です。
当然ですが、ファクタリング会社は回収の見込みが無い又は少ない不良債権を買い取る訳にはいきませんので、信頼性の高い債権はプラスの要素であると言えます。(優良性や信頼性は、売掛先との取引が反復継続して長期間にわたって行われている・遅れずに入金されていること等で判断されます。)

さらに、決済期日が近ければ近いほど、債務不履行の恐れや回収までの空白期間は少なくなりますので、好条件を得る可能性を高めます。

このように、個人事業主の方でも工夫次第では好条件を勝ち取れる可能性があります。
個人事業主に特化したファクタリング会社も存在しておりますので、マッチするサービスを是非根気強く探してください。